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第25話 【R18】神紋の儀式

작가: 霞花怜
last update 최신 업데이트: 2025-06-19 18:00:39

 化野護は、困惑していた。

 いつもベッドで自分の下にいる愛しい恋人が、自分に跨り雄の顔をしている。何と返事をすればいいのか、どう動くのが正解なのかわからずに、フリーズした。

 そうしている間にも、直桜は護の唇を食んで、耳を食んで舐めあげる。

「ぁっ……、直桜、待って。ここ、事務所。せめて、部屋に」

 胸を押し退ける手に力が入らない。

「どうせ誰も来ないよ。清人はもう帰ったし。てか俺、今移動したら意識飛ぶから、このままさせて」

 シャツを捲り上げて肌に触れる直桜の指が熱い。

 耳に掛かる吐息も早くて、熱を帯びている。

(惟神の力をこれほどに消耗して……。こんな直桜、初めて見た)

 未玖の清祓は護が思っていた以上に直桜の負担になったらしい。それほどに難しい魂魄だったのだろう。

 今まで他の惟神でも、浄化師でも清祓師でも成し得なかった術を、この短時間でやってのけたのだから、当然だ。

「直桜、休みましょう。神紋の定着は、今でなくてもいい。後でゆっくり、とっ」

 思い切り、下唇を噛まれた。

 流れた血を、直桜の舌が舐め挙げた。

「ダメだ。後回しには出来ない。逃がさないって言ってるだろ」

 開けたシャツを邪魔そうに退けて、鎖骨に噛み付く。

 ビクリと震える護の肩を抑え込んで、肌を強く吸われた。びりっと甘い痺れが走って、力が抜ける。

「でも、直桜がこれ以上、神気を消耗しては……んっ」

 鎖骨を食んでいた唇が胸に降りて乳首を弄る。

 舌先でコリコリと捏ねられて、腹が疼いた。

「今は、良いんだってば。素直に俺に抱かれててよ」

「直桜……、どうしたん、ですか。何か、焦って……」

「別に焦ってない。いいからもう、黙って」

 唇と強く押しあてられる。

 舌が割り込んで、上顎を強く舐め挙げた。

 息ができない程なのに、指で胸の突起をつねられる刺激
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